ダイエットと言えば有酸素運動のイメージが強いですが、最近では「筋トレのほうが有酸素運動よりも効率的に痩せられる」という理論が主流になってきています。
本記事では、その最新の理論をわかりやすく、筋トレと有酸素運動の特徴・特性を比較しながら解説していきます。
■有酸素運動と筋トレの消費カロリーの比較
●標準的な強度ではほぼ同等と言われている
一般的なダイエット筋トレ、つまり数分のインターバルをはさみながら、低~中負荷のウエイトトレーニングを10セットほど行う(約30分)場合と、軽く息が上がる程度の有酸素運動30分あたりの消費カロリーは、いずれもほぼ同程度だと言われています。単純な運動消費カロリーだけを比較すると、筋トレと有酸素運動に違いがないと言えるでしょう。
●直接的な脂肪燃焼効果はやや有酸素運動が上
単純に運動自体よる脂肪の燃焼量は、「有酸素運動」>「筋トレ」です。
これは、筋トレと有酸素運動の運動のエネルギー源による違いによります。
有酸素運動は、文字通り呼吸で取り込んだ「酸素」により体脂肪を燃焼させて運動エネルギーを作ります。一方、筋トレ=無酸素運動は筋肉の細胞のなかに蓄えられたグリコーゲンを燃焼させて運動エネルギーを作るからです。
しかし、有酸素運動においてもそれなりのグリコーゲン消費が、無酸素運動においてもそれなりの脂肪燃焼は起こりますから、比率として比べるなら、有酸素運動が脂肪燃焼の割合が多いということです。
なお、腹式呼吸を筋トレに組み込む事で、筋トレに有酸素運動の脂肪燃焼効果を取り入れることも可能ですので、その場合は筋トレも有酸素運動も、単純に直接的な脂肪燃焼量はあまり変わらなくなります。
●運動しない日のカロリー消費は筋トレでしか発生しない
筋トレのほうがダイエット効果が高い
「筋トレのほうが有酸素運動よりはるかにダイエット効果が高い」とする理論の一つ目の根拠が、運動を実施しない日のカロリー消費の差にあります。
有酸素運動は、当然ながら運動をしている時にしかカロリー消費が発生しません。
しかしながら、筋トレは実施後の数日間は筋肉痛になり、この筋繊維のダメージを回復させるために新陳代謝が活発になり、基礎代謝が大きく向上します。
つまり、筋トレを行うと、その後の数日間は「筋繊維回復のため、運動をしていなくてもカロリー消費が続く」のです。
有酸素運動に比べ、筋トレがカロリー消費に効率的なことがわかりますね。
●太りにくく痩せやすい体質にするには筋トレが有利
筋トレが有酸素運動よりも効率的な理由はさらにあり、これは中長期でダイエットを考えた場合、とても大切な要素です。
筋トレを継続することにより、全身の筋密度は向上し、結果として筋肉量が増加します。
筋肉は人間の構成組織のなかでも、もっとも基礎代謝が高い組織です。
つまり、筋トレをして筋密度と筋肉量を向上させることで、「基礎代謝の高い太りにくい体質」になるのです。
このことは、有酸素運動にはないとても大きなメリットと言えるでしょう。
基礎代謝の高い身体のイメージ図
筋トレで筋肉量が増加すると聞けば、どうしても女性は「ごつくなるのでは?」と不安になりますが、そんなことはありません。
筋密度の高い身体と、そうでない身体を模式的にあらわしたのが上の図です。
筋トレをして筋密度と筋肉量を向上させると、外見的にも引き締まっていくことがご理解いただけると思います。
■筋トレをするとムキムキにならない?
●遅筋(持久筋)を対象にトレーニングすれば大丈夫
もう一つ、女性が筋トレと聞くとどうしても連想するのが、上の写真のような「ボディービルディングの女性選手の身体」です。
しかしながら、一般的なダイエット筋トレをしてもこの写真のようなムキムキの身体にはなりません。
ボディビルの女性選手は、一般的なダイエット筋トレで鍛える持久筋と違い、「鍛えることで筋肥大する」瞬発筋を鍛えているから、ムキムキになるのです。
ダイエット筋トレの対象である持久筋を適切な負荷回数設定でトレーニングすれば、ムキムキにはなりませんので、どうかご安心ください。
なお、それぞれの筋肉の種類(筋繊維タイプ)と鍛え方は以下の通りです。
筋繊維の種類と特徴
○瞬発筋TYPE2b:高重量高負荷で10回前後の反復回数で鍛える
○瞬発筋TYPE2a:中重量中負荷で15回前後の反復回数で鍛える
○持久筋:低重量低負荷で20回以上の反復回数で鍛える
■筋トレの重さと回数の決め方
引き締め目的の場合
引き締め目的でトレーニングを行う場合は、鍛えても筋肥大せず筋密度が上がる特徴を持つ持久筋(遅筋繊維TYPE1)をターゲットに筋トレを行いますので、20回の反復で限界がくる重さ(負荷設定)で行います。
ボディメイクの場合
ボディメイク(ボリュームアップ)目的でトレーニングを行う場合は、鍛えると筋肥大する瞬発筋(速筋繊維TYPE2)をターゲットに筋トレを行いますので、12~15回の反復で限界がくる重さ(負荷設定)で行います。
■全身の筋肉部位と作用
全身の主な筋肉は、その連動性によっての4つにグループ分けされ、それぞれの筋肉の主な作用は以下のようになります。
上半身の押す作用のグループ
大胸筋:腕を前に押し出し閉じる
三角筋:腕を上・前・横・後ろに上げる
上腕三頭筋:肘を伸ばす
上半身の引く作用のグループ
僧帽筋:腕を下から引き上げる
広背筋:腕を上・前から引く
上腕二頭筋:肘を曲げる
体幹の筋肉グループ
脊柱起立筋:体幹を伸ばす・捻る
腹筋群:体幹を曲げる・捻る
腸腰筋群:脚を前に上げる
下半身の筋肉グループ
臀筋群:脚を後ろに上げる
大腿四頭筋:膝を伸ばす
ハムストリングス:膝を曲げる
内転筋群:脚を閉じる
下腿三頭筋:足首を伸ばす
▼さらに詳しい筋肉の名称と作用
筋肉部位名称デジタル図鑑女性版|ダイエット筋トレのためにわかりやすく解説
■女性筋トレのための食事メニュー
女性のダイエット筋トレの効果を高めるために必要な、食事と栄養の知識=三大栄養素とPCFバランス・グリセミック指数・アミノ酸スコアについてまとめました。詳しくは下記の記事をご参照ください。
女性筋トレのための食事メニュー例|タンパク質をしっかり摂りカロリーカットのレシピ
■週3回のダイエット筋トレメニュー
女性が筋トレだけで、確実に美しく痩せるための「部位分割トレーニング」=「スプリットメニュー」のなかでも、とても効率的な週3回のトレーニングプログラムをご紹介します。詳しくは下記の記事をご参照ください。
女性が筋トレだけで確実に痩せる週3回の部位分割メニュー|自宅からジムまで具体例を解説